mrguppのブログ

2005年から始めたMIXIの日記をブログに移植しました。MIXIで使用した画像はうまいこと移動できなかったので後からひとつひとつ貼り付けています。ところどころMIXIならではのおかしな部分が残っていたらご容赦ください。

3月11日(金)は、ビッグサイト(国際展示場)で開催されていた
ライティングフェアに足を運び、3時には会場を後にする予定だった。
フェアをおおかた見終わって
コーヒーショップのプロントでコーヒーを飲んでいた。
カップのコーヒーの液面に波紋が広がる。
足の裏と膝がずれたような気がした。
次の瞬間、身体が上半身と下半身が大きくねじれるように世の中が歪んだ。

ボクが咄嗟にできたのはテーブルの下に身を隠すことだけ。
テーブルの下から上をうかがうと20mはあろうかという高い天井に吊るされて揺れる照明器具。
周囲の人もテーブルの下からあたりの様子をうかがっている。
まるで翻弄される小さな漁船に乗り込んだ船酔いに似て、
何だか気分が悪くなってくる。

どれくらい揺れていたのかわからないけど、
ようやく落ち着いてテーブルの下から這い出た。
カップに残ったコーヒーをひと息で飲み干し鞄を持った。

こんな揺れは経験したことがない。
関東か東海の震源地なんだったら余震が怖いなと考えた。
iPhoneでウェヴに接続しニュースを見ると宮城県沖が震源地だとか。
ここがあんなに揺れたということは現地ではど偉い揺れだったはずだ。
東京の揺れは震度どれくらいだったのか、
クリックしまくっているうちにバッテリーがコト切れた。

もう一度大きな揺れ。
きっと電車も停まっている。
建物の外に出るよりここにしばらくいた方が良い。
覚悟を決めて席に居場所を定める。
やることもなく周囲の喧噪を眺めていた。
時折まだ大きく揺れている。

会社にいたらこんなもんじゃかなったかも知れない。
50階建ての15階だもん。
みんなはどうしているのかな。

6時半を過ぎて動き始めてみる。
コンビニに行ってエネループの単三を二本買い、
充電アダプターをつないでみる。
ケータイとアダプタを丸ごとポケットの中に納めながら考えていた。
ここから歩いて帰るとしたら何時間掛かるんだろう。
5、6時間は掛かるかも知れないな。
と思ってもういちどコンビニでエネループを追加で3セット(6本)買い、
散弾銃の弾丸のようにじゃらじゃらとコートのポケットに投げ込んだ。
同時におにぎりを二個買ってカバンに入れた。

エネループをつないだiPhoneのMapで、
現地から家までのルートを検索してみるとほぼ22km。
徒歩はおおよそ時速5kmだから休まずに歩けば4時間で帰れる計算だ。
最初に5、6時間と見積もったよりも早かったので、
これならここで待つより早く歩き出すべきだと決断した。

ぞろぞろと歩く人の波。
まるでこないだ終わった東京マラソンのウォーキング版のようだ。
みんな歩くのが遅い。

あちこちから聞こえてくる救急車や消防車のサイレンの音。
消防署の前を通りかかると、積み上げられたチェーンソーがあった。
まさしくエマージェンシーなシチュエーションだ。

途中左足首が痛くなったので両足の靴ひもをきつく縛り直した。
これでずいぶん歩きやすくなった。
どこかの自転車屋で自転車買えないかな?

普段からバイクで都内を走るのでだいたいの距離感や方向感覚はあったが、
4時間半歩いてようやく家の近所の見覚えのあるあたりに着いた。
ホッとして目についた赤ちょうちんの引き戸を開けた。
「おつかれさん」とオヤジが声を掛けてくれた。
「燃え尽きたよ、真っ白にな」と答えたかったが声にする気力も無かった。
コートを脱いで席につき、
店主も客も皆が注視するテレビを見て愕然とした。
もうすぐ11時になる今の今までひたすら歩いていたので、
宮城や福島であんな津波の被害が出ていることを知らなかった。

途中ケータイメールは受信できるものの送ることができなかった。
無線局はパンクに近い状態なんだろう。
歩きながらiPhoneの設定でBBやFONのWiFiポイントを探しながら、
良いポイントを見つけると立ち止まってメール操作をした。
はじめてFONのありがたさを知った。

家に着いたら崩れるように眠ってしまうだろうと思っていたのに、
東北地方の被害のヒドサに衝撃を受けたショックで眠れず、
朝方までずっとおなじような画面が続くテレビを見続けて、
目が覚めたら3月12日(土)の昼11時近い時間だった。

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