mrguppのブログ

2005年から始めたMIXIの日記をブログに移植しました。MIXIで使用した画像はうまいこと移動できなかったので後からひとつひとつ貼り付けています。ところどころMIXIならではのおかしな部分が残っていたらご容赦ください。

本日3月22日、東京国立博物館での特別展、長谷川等伯展を見て来た。
最終日だけあって9時半開館で、10時についたボクは50分も並んで待たされた。
こんなところで50分も待たされるなんていったいどういうことなんだ。
しょうがない、最終日っていうのはこういうものなのだろう。
50分待たされたことを、
ここに来もしないヤツに待ったことを四の五の言われたくない。

とにかくヤラレタ。
没後400年も経つ人間の描いた絵に感動させられるなんて。
「柳橋水車図」では
あの時代を超越した幾何学的パターンを繰り返す技法の音楽性に愕然とした。
1500年代の日本で考えられる最高峰の幾何学を駆使された、
まるで現代音楽のようなミニマリズムにそったリズムに即した構図。

そして最大限の期待をもって見た「松林図屏風絵」。
国宝なんですが、実物を見てひっくり返ってしまった。
これは絵じゃない!ひとの想いがそのままそこにあるじゃないか!
思想そのものだ。目には見えない霧の濃淡の気配を描くことなく描き切っている。
うっすらとその幹をぼやけさせ、
そこに隠然と存在する霧の存在を感じさせる左隻の松の描写は
とにかくこの絵の最重要な描写だろう。

プラスの反対はマイナス。
善の対極は悪。
とにかくこれだけの才能というものをこれまでボクは見て来ていない。
東京での等伯展の後、
展示が京都に移っても追いかけてもう一度観てみようと思わされた展覧会だった。

いっぽう、あたくしにとっては悲しいことに「highfashion」が休刊しました。
その過去50年の誌面から抜粋されたベスト誌面がパネル化して展示されています。
3月22日から28日まで、銀座一丁目のポーラビル3階、
ポーラミュージアムアネックス、入場無料です。

展示の準備の段階から展示予定の写真を見ていたけど面白い誌面が目白押しです。
どの時代の写真も今見てもすべて美しい。
昔のスナップ写真やファッショナブル写真は時代を経るとカッコ悪くなるものなのに、
「highfashion」が掲載してきたモード写真は、
誰が今見てもカッコ良く見れる写真ばかりなはず。

日本国内の他の雑誌に先駆けて誌面のデザインを一括監修する
アートデザイナーのシステムを導入したのもハイファッションだったんですね。
創刊の1960年当時は既製服、
つまりお店で売っている服を買うという感覚すら
まだ無い時代に作っていたファッション雑誌なんです。
1ページ1ページに登場している服は一流の服地を使い、
世界一流のデザイナーにデザインさせ、パターンをひき、縫製し、
一流のモデルに着用させ、一流のスタッフで撮影したファッションページが続く。
そんなめちゃめちゃオートクチュールな雑誌作りをしていました。

そういう時期の雑誌だったので生地メーカーらと世界で初めて
「編集タイアップ」というシステムを
日本独自の仕組みとして始めてしまったのが「highfashion」だったのです。
その雑誌の休刊を発表するのと同時にボクのところには
50年間のアーカイブをやってくれと、
東京コレクションの事務局から頼まれました。

休刊誌の死んだ子の年を数えるようなことはしたくない
というのも社内の一つの考え方でしたが、
ボクにはそんな気はまったくありません。
創刊して10年20年程度の雑誌ならそうかも知れないけれど、
50年続いた雑誌だからこそ、
そういう要望に応えてアーカブをやる意味は会社としてとてもあるものと感じました。
ボクの会社のトップはそんなことに後ろ向きな姿勢でしたが、
毎日繰り返す説得と懐柔でボクの意向を突き通しました。

創刊時、一冊1ドル=360円、
現在の日本円で言えば3~4000円の価格を付けた「highfashion」は、
おかげさまで半世紀の寿命を全うすることができました。
きっと皆さんの持つ美意識の高さを改めて自覚させてくれる展覧会になるはずです。
お近くへお越しの折には、
どうぞ会場の方までお足をお運びいただけましたら幸いと存じます。

PRタイムになってしまって申し訳ございません。

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