mrguppのブログ

2005年から始めたMIXIの日記をブログに移植しました。MIXIで使用した画像はうまいこと移動できなかったので後からひとつひとつ貼り付けています。ところどころMIXIならではのおかしな部分が残っていたらご容赦ください。

残業で八時半。
明日提出の企画案も出来たしそろそろ帰ろうと思う。
手許のわずかな荷物を整えてから
ハンガーラックから上着を取り羽織る。
まだ残業している同僚に挨拶をして
出退勤時間管理の機械に社員証を通す。
ピッと言う音と共に、退社時刻が記録される。
エレベータに乗り込み、
上着のポケットに手を突っ込むと四つに折り畳まれた紙が出てきた。
映画のチラシだ。
時計を見る。

ビルの目の前の国道ですぐにタクシーを拾えた。
これなら間に合いそうだ。
タクシーの車内は新車独特な新しい樹脂の匂い。
クルマが新車だからってドライバーが初心者な訳ではない。

観たかった映画があったのに
レイトショーだけの上映なのでなかなか行けないままでいた。
先週この上着を着た時にチラシを折ってポケットに入れたままでいたのだ。

渋谷の映画館に着くと上映開始の九時より二十分前だった。
チケットを買うのにカバンから財布を出した。
千八百円ちょうど小銭が無かったので千円札二枚。
「千円になります」抑揚のない発音で言われた。
ボク、シルバーじゃないからね、と思い掛けて気付いた。
今日は1日。映画のサービスデーなんだ。
図らずもタクシー代が浮いた。

チケットには整理番号が振られている。
七番。しばらく待って開場された。
「整理券十番の方までお入り下さい」係員が口にする。
自分の後ろを振り返ると誰もいない。
館内に視線を泳がせると六人が着席し、
一人が好みの席を求めて通路を歩いていた。
全部で八人。
係員はとくに何も言わなくて良かったのに。

映画が始まった。
これは初めての体験だ。
自分の友人がスクリーンの中にいて、
主人公であるバンドのメンバーなのだ。
そのバンドを追ったドキュメンタリー映画。

五人メンバーのうち四人が聴覚障害を持つバンド。
友人は唯一の健聴者(映画ではそう使っていた)で
彼らの聾唖高校時代の教師であった。
音を聞くことができない彼らが家で楽器を練習している事を聞き、
バンドをやりたいと言われた時は驚いたと言っていた。
音が聞こえないのにバンドをやって何が面白いんだろうって。

ボクが彼らの演奏を初めて聞いたのはバンドを結成したばかりの二十年前、
その友人の結婚式の二次会だった。
当時はまさかそのバンドが二十年後も活動しているとは思いもしなかった。
それが今じゃ日本全国から出演のオファーがあり
百回以上のライブをこなしてきたベテランバンドだ。
そして彼らが主役の映画が今ここで上映されている。

映画の内容について細かくは触れない。

大学時代に一緒にサークルで活動していた皆さんはぜひ観てください。
きっと映画の最後に驚くことがあるでしょう!
そしてまたこの日記で興味を持った方もどうぞご覧になってみてください。
普段はそうそう観ない種類の映画でしょう。
東京での上映は今週の土曜日6/6でオシマイです。

「JAP THE ROCK REVOLVER」

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