黄金の塊の行方にひとは魅了してやまないのである、と言っても過言ではないのだ。

と、よろしくお願いします。



ある宿で黄金の風呂が盗難に遭うという事件が発生した。
目撃者や有力な手がかりもなく、とうとうある日、事件は時効を迎えることとなった。

総武警察時効管理課の霧島はその宿を訪ねた。


そもそもですね、一億二千万円もの金塊を使ってふたつも黄金の風呂を作るということ自体、ボクにはとても理解できないことだったんですよ。
しかし、これは直接事件には関係のないことで、その話題はあっちに置いておきましょう。

で、失礼ながら調べさせていただきました。

どうやらこの宿も他の観光宿と同じように減少する一方の観光客に、何か新しく話題を提供できるなにかを考えなければならなかった、そんな状況だったようですね。

そんな折、岐阜県高山市の大橋コレクション館で展示してあった二億円相当の金塊が盗難に遭うという事件が、テレビで連日大々的に報道されていました。
おまけにその後、盗難に遭った大橋コレクション館がしばらくの休業のあと営業を再開してみると、無くなった金塊の人気で来場者が押し掛け、それまでの来場者数記録を大きく塗り替えたという。
そんな続報がさらに話題となり、そしてそれをあなたがたはテレビで見ていたわけです。

そしてその後、こちらの宿にふたつあった黄金風呂のうち、ひとつが盗難に遭い、ひとつが残った。。。。

ということで、さ、三日月くんアレを。
ん？三日月？
アレ？あれ？どこかで聞いたような名前じゃないですか！
いや、きっと、そんなことは気のせいでしょう、まあいいです。話を先に進めましょう。

事件そのものはもう時効ですから、ボクがこの件を口外することはありません。
で、せっかくご協力いただいた犯人の人を不安な気持ちにさせてはいけないと思いまして、これ。
お納め下さい。
ハァーペタ（ハンコを捺す）
「誰にも言いませんよカード」です。

そういうことですから、今日聞いた真相は誰にも言いません。
どうぞ。