mrguppのブログ

2005年から始めたMIXIの日記をブログに移植しました。MIXIで使用した画像はうまいこと移動できなかったので後からひとつひとつ貼り付けています。ところどころMIXIならではのおかしな部分が残っていたらご容赦ください。


まだお酒を飲めないカラダなので、この花見シーズンはちとさみしい。

金曜日は取引先が催して下さったお花見会にも急な仕事のトラブルで行けなくなってしまった。仕事帰りには靴に土のついたスーツ姿のひとが、どう見ても花見帰りのほろ酔い加減で電車に乗り込んできたので、一歩よける。
土曜日は桜の樹のある近所の公園からいつもの子供たちの声とは違う、野太い声がひと際大きく響いていた。

日曜日はとても天気が良くて、ボサボサに伸びた自分の髪が気分的にどうにも収まりが悪くなって朝から床屋に行った。隣の台で散髪されている御仁の声がやたらにでかく、春の高校野球の解説をし始めたので気になって目をやると、亡くなったかたのように布に覆われていて足だけしか見えなかった。その足にナイキの初代エアジョーダンを履いていてギョッとした。これが発売されたのって'85年じゃなかったっけ?

さっぱりしたアタマで家に帰り、もうすぐ嫁いでゆくわがクルマのなかに掃除機をかける。たった3年半のお付き合いだったけれど、このクルマとのあれこれを思い出す。掃除とは片付けることと同時に思い出すことでもあります。

掃除が終わると今度はスタッドレスタイヤを普通タイヤに付け替える。ベランダから普通タイヤを持ち出し、マンションの廊下、敷地内、駐車場とコロコロと転がしていく。クルマの四隅にタイヤを四本置いてから、一箇所ずつジャッキアップしてインパクトレンチでナットを外してタイヤを交換してまた締め込んでいく。今この様子を衛星から撮影されていたら、四論のタイヤを広げたような不思議な乗り物がGoogle earthで見ることができるのだろう。

その流れでスキーキャリアも取り外した。引越しで家具を運び出したあとに残る畳の日焼け跡のように、キャリアの跡がくっきりとクルマの天井に残った。跡を見て、こいつとももうすぐオサラバだなと思ったら、風が花粉を運んできたようで鼻をすすった。

お昼にはサクラエビをたっぷり混ぜたお好み焼きを焼いて食べ、ひと息ついて午後からはバイクに跨り都内をグルリ。

護国寺の桜を眺め、外堀通りのお濠沿いに並んで咲く桜を左手に見ながら走り、靖国通りを靖国神社へ。
そこから人出の多い皇居濠の桜をなぞり、日比谷公園を一周。北上して上野公園、言問通りを辿り、鶯谷、谷中、根津、千駄木と点をつないで駒込へ向かう。東京の下町情緒あふれる街並みにずっと桜が咲き並んでいる。

走っているうちにだんだんと日が傾いてきて、昼間の白く華やかな桜の花が、いくらか赤みを帯びた日差しに映えて桜色の度合いを増し、街の風景に妖しげな気配を添え始めたころ、大通りに出ると延々と観光バスが停まっていた。ここはどこ?見れば駒込の染井霊園。芥川龍之介や谷崎潤一郎の墓があるので有名ですが、いっぽう桜のソメイヨシノ発祥の地としても知られ、お花見ともなれば観光バスまで出るのですね。

しばらく走ると空はさらに暗くなってきて、差し掛かったのが王子の飛鳥山公園。公園のなかのあちこちで行灯が灯りその光を受けた桜の花々が、グラスに注いだビールの泡のようにふわーっとした軽さを感じさせて見えて、飛鳥山公園ごと浮かんでどこかへ飛んで行ってしまいそうな気がした。そこへ路面電車の都電が通り掛り昭和浪漫の風情です。

やがて夕焼けに染まる雲の下、浮間の荒川沿いの宵桜を眺めて家に帰るという、お酒を飲まずに巡る東京花見の一日でした。




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